講演回数800回以上。ひきこもり、リストカット、摂食障害、発達障害、不登校、認知症、家族支援

リストカット、摂食障害、、娘との体験記(全5回)

《あずさからのメッセージ 》

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梓は私の第三子で
ダウン症児として生まれました。
梓が大きくなっていくまでの過程を、
子供たちへの質問も交えながら
話していったところ、
ぜひ自分たちにも見せてほしいと、
保護者から授業参観の要望がありました。
 
以降、
他の学級や学校などにもどんどん広まっていき、
現在までに福岡市内六十校以上で、出前授業や講演会をする機会をいただきました。

 

梓が生まれたのは平成八年のことです。
私たち夫婦はもともと障がい児施設で、
ボランティアをしていたことから、
我が子がダウン症であるという現実も、
割に早く受け止めることができました。
迷ったのは上の二人の子たちに、
どう知らせるかということです。
 
私は梓と息子、娘と四人で
お風呂に入りながら、
「梓はダウン症で、これから先もずっと
自分の名前も書けないかもしれない」
と伝えました。息子は黙って梓の顔を

見つめていましたが、
しばらくしてこんなことを

言いました。

「さあ、なんと言ったでしょう?」
という私の質問に、

子供たちは、
「僕が代わりに書いてあげる」
「私が教えてあげるから大丈夫」
と口々に答えます。

この問いかけによって、

一人ひとりの持つ優しさが、
グッと引き出されるように

感じます。

実際に息子が言ったのは

次の言葉でした。

「こんなに可愛いっちゃもん。いてくれるだけでいいやん。なんもできんでいい」

この言葉を紹介した瞬間、
子供たちの障がいに対する認識が、
少し変化するように思います。

自分が何かをしてあげなくちゃ、
と考えていたのが、
いやここにいてくれるだけでいいのだと、
価値観が揺さぶられるのでしょう。

さて次は上の娘の話です。

彼女が、
「将来はたくさんの子供が欲しい。
もしかすると私も障がいのある子を産むかもしれないね」

と言ってきたことがありました。

私は、

「もしそうだとしたらどうする?」
と尋ねました。ここで再び子供たちに質問です。

「さて娘はなんと答えたでしょう?」

「どうしよう……私に育てられるかなぁ。お母さん助けてね」
子供たちの不安はどれも深刻です。
しかし当の娘が言ったのは、

 

思いも掛けない言葉でした。
「そうだとしたら面白いね。だっていろいろな子がいたほうが楽しいから」
子供たちは一瞬「えっ?」と、息を呑むような表情を見せます。

 

そうか、

障がい児って面白いんだ――。

いままで

マイナスにばかり捉えていたものを、
プラスの存在として

見られるようになるのです。

逆に私自身が子供たちから、
教わることもたくさんあります。

授業の中で、梓が成長していくことに伴う、「親としての喜びと不安」には、

どんなものがあるかを挙げてもらうくだりがあります。

黒板を上下半分に分けて横線を引き、
上半分に喜びを、
下半分に不安に思われることを

書き出していきます。

・中学生になれば勉強が分からなくなって困るのではないか。

・やんちゃな子たちからいじめられるのではないか……。

 

将来に対する不安が

次々と挙げられる中、こんなことを口にした子がいました。

「先生、真ん中の線はいらないんじゃない?」

理由を尋ねると、

「だって勉強が分からなくても

周りの人に教えてもらい、
分かるようになれば
それが喜びになる。
意地悪をされても、
その人の優しい面に触れれば

喜びに変わるから」

これまで二つの感情を

分けて考えていたことは、
果たしてよかったのだろうかと、
自分自身の教育観を
大きく揺さぶられた

出来事でした。

子供たちのほうでも

授業を通して、
それぞれに何かを感じて
くれているようです。
 

「中略」

 

授業の最後に、

私は決まって次の自作の詩を朗読します。

「あなたの息子は
 あなたの娘は、
 あなたの子どもになりたくて

生まれてきました。
生意気な僕を
しっかり叱ってくれるから
無視した私を
諭してくれるから
泣いている僕を
じっと待っていてくれるから
怒っている私の話を
最後まで聞いてくれるから
失敗したって
平気、平気と笑ってくれるから
そして一緒に泣いてくれるから
一緒に笑ってくれるから
おかあさん
ぼくのおかあさんになる準備を
してくれていたんだね
私のおかあさんになることが
きまっていたんだね
だから、ぼくは、私は、
あなたの子どもになりたくて

生まれてきました。」

上の娘から

夫との馴初めを尋ねられ、
お互いに学生時代、
障がい児施設で
ボランティアをしていたからと

答えたところ、

「あぁ、

お母さんはずっと梓のお母さんになる

準備をしていたんだね」

と言ってくれたことが

きっかけで生まれた詩でした。

昨年より私は

特別支援学級の担任となりましたが、
梓を育ててくる中で得た多くの学びが、
いままさにここで生かされている

ように思います。

「お母さん、準備をしていたんだね」

という娘の言葉が、

より深く私の心に響いてきます。

 

ー 是松いづみ(福岡市立百道浜小学校特別支援学級教諭)
『致知』20132月号「致知随想」より ー
夏休みも残り少なくなってきました。
 
みんなが二学期へと
動きはじめます。
 
不登校のお子さんも、親御さんも
こころがざわざわする時期だと思います。
 
上記にご紹介させていただいたように
子ども達の素直な思いを聞くと、
子ども達に教えられることが

多々ある事に気づきます。

無意識のうちに、私達大人が

いかに先入観で
子どもを見て、
勝手に線引してしまっているか。
 
学校は命をかけて行く場所ではありません。

どの子どもに対しても
「いてくれるだけでいい」
この私達の思いを伝えていきましょう。
 
誰もが差別なく生きていける
社会を作るためには、
私達大人の意識を変える必要が
あると思います。

子ども達の命を守っていきましょう

 

学校は命をかけて行く場所ではありません。
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